裁判ウオッチャーとも呼ばれるようですが、この人達を意識しだしたのは
相当昔になります。
法廷前のベンチで担当事件開始までの時間待ちをしていると、いくつもの法
廷が見渡せる廊下を、審理開始時間と事件名が書かれた掲示板をいちいち見
ながら歩き回っている人が目についたのです。
自分が行くべき決まった法廷があるとは思えない動きだったからです。
大きな裁判所では、平日の10時頃から17時頃までどこかの法廷で事件の審理
が行なわれているはずですから、それを見て廻ることは、時間をもてあ
まし
ている人には好奇心を充たし、社会勉強も出来る暇つぶしには恰好なの
かも
しれません。
しかしこの人達にとっては、単に暇つぶしのつもりでも裁判を受ける当事者
にとっては、法廷内の傍聴席にその人達が存在するだけで、少なからぬ影響
を受ける場合が結構あるのです。例えば、1回の傍聴では何のことかさっぱ
り判らないので顔見知りの関係者
以外には傍聴人が殆どいない民事事件、家
事事件の傍聴席に見知らぬ人が
座っていると、事件の当事者は、傍聴席に誰
が来ているのか気掛かりなもの
です。
また刑事事件で、被告人が暴力団から絶縁するので組には戻らないと決意を
述べようと思っているところに、組関係者のような人物が傍聴席にでんと
座っているとつい怖気づいて、言いたいことも言えなくなったりするのです。
そこで、傍聴席に何者だろうというような人がいると、私の方から、「あそ
こに座っている人、知っていますか?」と聞いてみたり、裁判の後で、
「傍聴席にいた人は誰ですか?」と逆に私が聞かれることもあるのです。
ところで、ウオッチャー同士が馴染みになり、「あの裁判官は“ああだ、
うだ”」と評論し合うこともあるそうですが、私も「この人はどう?」

その評価を聞いてみたい気持ちにさせる裁判官に当たることもたまには

ります。

以 上