私は、刑事事件も担当します。

主に国選弁護事件です。
国選弁護制度は昔は被告人国選すなわち裁判所に起訴された人の弁護だけでし
たが、現在は被疑者国選すなわち捜査段階の被疑者の立場にある人の弁護制度
も加わっています。
被疑者や被告人が在宅(身柄を拘束されていない)の場合には余りないのです
が、留置所や拘置所に勾留されている場合に弁護人として接見(面会)した際
にいろいろなことを頼まれることが結構あります。
事件のことについては○○さんがよく知っているので聞いて欲しいとか、証人
として○○さんに出てもらいたいので頼んで欲しいとか、家族・知人等が心配
していると思うので連絡を取って安心させて欲しい、面会に来るように伝えて
欲しい、着替えや手持ち金がないので差し入れを頼んで欲しいなどの連絡は刑
事弁護人として選任されたからには当然するべき職務でしょう。
ところが、警察署は賑やかな町中にあることが普通ですから、お金を渡すので
近くの本屋で○○という本や最新の週刊漫画本を買ってきて差し入れして欲し
いとか、同じ拘置所の収監者同士の郵便の遣り取りはできないので、○○さん
に送って欲しいといって切手を添えて写真を送ってきたり、弁護人なら拘置所
に送れるのでと外部の人から何回にも分けて何冊もの便箋を送って来たことも
あります。
これらの頼まれ事はほとんど本来の刑事弁護の弁護人としての職務と関係のな
いものです。
特に控訴審ですと、1審判決が出ており、控訴しても刑は変わらないと観念し
ている人などは、未決(判決確定前)のうちに服役したらできなくなることを
やっておきたいと、このような依頼をしてくることが結構多いのです。
身柄を拘束されて頼める人とも頻繁には連絡の取れない等の環境におかれてい
る立場を考えると無碍に断るわけにもいかず、なるべく要望にそうようにはし
ています。
しかし、事件そっちのけで、今度はこれ、次はこれと次々と注文してきて、
1000円余りの切手の差し入れを断ると、ケチな弁護士だといわんばかりに「こ
れまで会った弁護士さんは皆差し入れてくれたのに」などと嫌味をいってくる
人に出会うといい加減にしてくれと言いたくなるのです。
今度は何を頼まれても断ると決めて出向いても、なにか頼まれごとを持ち帰っ
ているというような頼み上手な人には手を焼いています。